メトロポリマンとの戦いの中で突如として出てきたトランプ大統領に似たお面を被った少年。不気味な雰囲気でした。正体は結糸向(ゆいとすすむ)。彼はいったい何者なのか。今回はこの少年について書いていきます。
プラチナエンド トランプの少年、結糸向(ゆいとすすむ)
結糸向(ゆいとすすむ)の登場は意外と早く、六階堂さんが神保球場で神候補を探っていた時にスマホで写真に収めた少年が「すすむ」です。
生流奏のような上流階級でもなければ底谷一のように貧困のどん底にいたわけでもないごく普通の小学5年生でした。
神候補と言うことは人生に絶望していた過去があるはずです。
彼は何に絶望していたのか。
小学校低学年の頃は一緒に帰ったり遊んだりといったクラスメイトはいましたが、高学年になるにつれ、友達は塾などで忙しくなり一緒に遊ぶことがなくなってきました。親は共働きで夜まで帰ってきません。
ゲームをしてもつまらない、漫画を読んでもテレビを観ても面白くない。でもこれといった不安はない。
ただなんとなく寂しかった。
なんとなく親が飲んでいる睡眠薬をテーブルに並べていた、その時に現れたのが遊戯の天使ペネマです。ススムはペネマから翼と赤の矢を与えられました。
ペネマからメトロポリマンの正体を教えられた向(すすむ)は上層学園に入り込み油断していた生流奏に赤の矢を刺しました。
メトロポリマンとミライくんの戦いを目の当たりにしたススムは得も言われぬ興奮を覚えます。ゲームやマンガとは違うリアルがそこにはありました。
本物の人間が生死をかけて戦う姿に「生きるってこんな感じなんだ」と思いました。
プラチナエンド トランプの少年、結糸向はどこにでもいる
結糸向(ゆいとすすむ)、彼は死んでいるようにただ生きていただけなのか。
いや、生きているのに死んでいたのか。
どちらでもないのかもしれないし、どちらでもあるのかもしれない。
無気力、無目的、無関心。
短絡的にただ面白いことを探してゾンビのようにさまよっている。そんな人ってけっこういるんじゃないかと思いますね。
でも、そんな時期って誰にでもあります。
ススムは世間に対して神を探してくれと嘆願します。生きる凄さを見せてくれたミライくんを神にしたいと言います。
自分も神候補なのに神になりたいわけではない。だから、自分にできないことをする凄い人を神のように崇めて心酔する。
なんだか私たちの10代の頃と似ていますよね。
現実はとてつもなく厳しい世界です。そんなことは薄々わかっているんですよね。
大人が作った社会という現実に何の疑問を持たずに塾に通い出すクラスメイトを見て、そこに少しだけ抵抗したくなるんですよね。
楽しけりゃそれでいい。
それじゃ通用しないことは百も承知なんですよ。
私もそんな頃があったなぁとススムくんを見ていて思いました。
プラチナエンド トランプの少年、結糸向の望んだ未来
神候補たちが"神になったら何をするか"ということをひとりひとりが発言するシーンがあります。
その中でススムくんはこう言いました。
「友達と遊べる世界がいいなと思っていて・・塾とスマホがなくなったらいいなと思っていました」
「今、神候補でいるのがスリルがあっていいっていうか・・なんか毎日、生きてるって実感があって・・皆がこのワクワクする実感を持てたら、世界はもっと楽しくなるって思った」
「だから、みんなが白の矢を持つ世界にできたらいいかもって思ってる」
ススムくん。もう少し大きくなったらわかると思うよ。戦場だけが生きている実感を感じられる場所ではないんだよ。
リアルって人と人が傷つけあったり、自分の手首を切った時にしか実感できないものではない。
痛みだけがリアルじゃねーのよ。
遊んで「あー楽しかった」っていう瞬間だけがリアルじゃねーのよ。
俺も10代の頃は色んな思いをしたけど。おっさんになったらけっこう世界って楽しくなるぜ。
だから結糸向くんも生きていて欲しかったなーって思ったよ。
老婆心ながら・・