イルミューイの最期の子供でもあり最後の憧れ『ファプタ』。
ファプタの目的とは何か。
イルミューイの願いとは何か。
今回は成れ果て姫ファプタと母であるイルミューイについて解説および考察します。
目次
母イルミューイとファプタ:誕生
ファプタ誕生の物語は『欲望の揺籃』が関係します。
水もどきによって瀕死に陥ったイルミューイに願いを叶える遺物『欲望の揺籃』が使われました。
一個目は子供が産めないイルミューイにとっての願い「赤ちゃんが欲しい」でした。
しかし生まれてきた子供は寿命が短く次の日には死んでしまうという不完全なものでした。
その子供を食料にすると水もどきの被害を回避できることをワズキャンは発見し、ガンジャ隊のみんなに振る舞うことで危機を脱出しました。
二個目の願いは黄金郷「村(イルぶる)」を作ってそこでみんなで暮らすこと。
イルミューイ自身が「村」になりました。
しかしこれはワズキャンによって仕込まれたもので、イルミューイが主体的に願ったものではなかったのかもしれません。
おそらくワズキャンはイルミューイにそっと耳打ちしたのではないでしょうか。
「ヴエコとずっと一緒に暮らせる黄金郷を作るには君が村になればいいんだよ」
ここでもワズキャンは自分たちが生き残るためにイルミューイを使ったのでしょう。
三回目の『欲望の揺籃』はイルミューイが隠し持っていたものでした。
ワズキャンも知らなかったようです。
この三個目の願いこそ「ファプタ」の誕生だったのです。
母イルミューイとファプタ:ファプタの目的
村の住人はガンジャ隊の隊員たちとアビスを探窟して辿り着いたものたちが「成れ果て」となって暮らしています。
ファプタは自分の兄弟を食べて生きながらえたものたちを憎んでいます。
なぜファプタがそのことを知っているのかというと、イルミューイがファプタに宿した記憶だからでしょう。
つまりファプタはイルミューイの憎悪の化身だということですね。
ファプタの目的はそのままイルミューイの目的でもあります。
それは村の破壊です。
村を破壊することで兄弟を食べたものたちを消し去り、村となって存在し続ける母イルミューイを解放してあげたいということではないでしょうか。
ファプタが村に入れないのはなぜか
イルミューイは村に入ることができません。
村人を憎んでいるのに入れないというのは矛盾していますよね。
なぜなのか?
イルミューイには壊したいものと壊されたくないものがあるからです。
村となったイルミューイはほとんど自我がありません。
村『イルぶる』という言葉の意味は
「村」が5割
「ゆりかご」が4割
「母」が1割
です。
村になったイルミューイの自我は消え去り、村の住人の「ゆりかご」として存在することになりました。
「ゆりかご」は赤ちゃんを守るもの。
ここでは村人たちを守るものとなったということです。
村の住人を憎んでいるけど村を守る割合の方が大きいためファプタは村に入ることができず、村の周囲を徘徊するということになってしまいました。
イルミューイの守りたかったもの
自我が消え去ってしまう前にイルミューイの記憶はファプタに託されましたが、ある記憶はベラフに託されました。
それがすべてを破壊して欲しいけど誰にも壊されたくないものの正体です。
そう、ヴエコでしたね。
なぜベラフに託したのか。それはベラフが『美しい眼差し』で世界を見ていたからでしょうね。
そのあたりの記事はこちら『三賢ベラフの罪』
母イルミューイとファプタ:ファプタの旅立ち
イルミューイには誰にも壊されたくないものがありました。
それは娘であるファプタにも壊されたくなかったものでした。
しかしベラフはファプタに伝えることができました。
ファプタが母イルミューイから受け取ったもの。それはイルミューイだけの『価値』でした。
そしてファプタはこう決意しました。
『価値はみずから知りにゆくそす』
感動しますよね。
イルミューイの願いとファプタの旅立ちは。