黎明卿 新しきボンドルド。この男が行ってきたことは決して許されることではありません。まさに鬼畜の所業です。しかしボンドルドにはその実験により困難を克服し、新たな扉を切り開いていく、飽くなき研究者としての一面も見て取れるのです。
その狂気こそボンドルドの魅力でもあります。
ボンドルドの実験などを解説。
メイドインアビス ボンドルドに見る実験:昇降機
ボンドルドは5層の最下層に前線基地を作っています。そこで孤児たちを集めて恐ろしい実験をしていました。
そこには6層に降りることができる場所があり、2台並んだ昇降機を設置。
孤児を昇降機に乗せ一旦6層に降ろし、そこから上昇させます。
当然アビスの呪いがかかってきます。
6層の呪いは「人間性の喪失(=異形生物への変異と人間としての自我の消失)もしくは死」。
ボンドルドは2台並べた昇降機を使って呪いを一方に押し付けるという実験をしていました。
一方は犠牲になり一方は呪いを回避させるという実験です。
たくさんの尊い命を犠牲にしながらやがてナナチとミーティも実験の順番がまわってきました。
その壮絶な実験の結果、ナナチはアビスの祝福を受け、ミーティは犠牲になりました。この実験からボンドルドは新たな発見をします。
それがカートリッジのヒントとなりました。
メイドインアビス ボンドルドに見る実験:カートリッジ
カートリッジはスキューバダイビングの酸素ボンベのように背中に背負います。
そのカートリッジを背負っていれば上昇負荷をカートリッジの中に押し付けることができるという仕掛けです。
しかし、その中身とは呪いを受けるために体の余計な部分をそぎ落とした孤児たちです。必要な部分とは脳と背骨だということです。
もう発想が滅茶苦茶。
ゲスの極み。
では一体ボンドルドがナナチとミーティの実験によって得たものとは何だったのか。
それはアビスは呪いと同時に祝福も与えているということでした。
その祝福を得るためにはナナチとミーティのように呪いを受ける側と深い部分での精神的な繋がりが必要だということです。
つまり「愛情」というものですね。
「情」というものを盾にしてアビスの呪いを回避する方法を考え出したのです。
メイドインアビス ボンドルドに見る実験:人類の進歩
ボンドルドのやってきた実験は決して称賛されるべきものではないかもしれません。
しかし上昇負荷によるアビスの呪いを回避する方法を実現するツールを作り出したということ。
これは人類の発展と同じようなものです。
考えてみたらウニやナマコ、タコのようなあんなグロテスクな生き物を「美味しい美味しい」って食べていますよね。
あれ、最初に食べた人ってどういう感じだったのでしょうか。
フグなんかでも美味しいけど毒を持っていますよね。
おそらくたくさんの人が毒にやられながらも毒を取り除き、美味しく食べられる方法を確立していったのでしょう。
我々人類の文化はまさに人体実験の歴史でもあります。
医療はどうか。
あらゆる国で囚人などを使い人体実験を繰り返してきた末に確立されたものって、表には出ないけどたくさんあると思います。
ひとつ例をあげると、外科手術では欠かせない麻酔もまた、大勢の犠牲のうえに安全が証明された物だということです。
人間の意識を奪うクロロホルムは麻酔に使われるようになってからも適量が見極められずに、しばらくは手術ではなくクロロホルム中毒で死亡する患者が続出したそうです。
そういった犠牲の元、現代の人類は成り立っています。
ボンドルドの実験もこのような側面があるのかもしれませんね。
やがてカートリッジの中身が人間を使わなくても代用できるものができれば、アビスの呪いを克服することができます。
そんな時代が来たとき、そのルーツとなるものがボンドルドの実験であることは間違いありません。
新しい時代を切り開く探求心。
まさに黎明卿の名にふさわしい人物ですね。
まあ、とんでもないヤツですけどね。
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